このマニュアルは、社会福祉法第82条の規定をふまえて適切な対応を行うことにより、利用者等が安心して通える環境を整え、迅速な改善を図るための対応手順及び留意事項を定めるものである。
〇このマニュアルにおける「苦情」とは、
・職員が提供した支援に対する不満、またはサービスを利用する側に何らかの不都合、不利益などが生じる事柄に対する訴え等を「苦情」という。
・日常的に職員が提供する支援やサ ー ビス提供により、適切な対応を行い、記録に残す必要がある。適切と思われる対応であっても後に「苦情」として現れることもある。
1.基本的な心構え
苦情申出人(以下「申出人」という。)からの苦情等に対応する際には、苦情受付担当者又はその他職員は、次の事項に留意すること。
○ 申出人のプライバシーの保護のため個室を使用する。但し、その際は、苦情受付担 当者の他、職員1名が立会う等、複数の職員で受付けること。
○ 申出人を長く待たさず、正確・迅速・丁寧な対応を心掛ける。
○ 当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かを考え、誠意をもって対応すること。 ○ 最後まで申出人の話しを聞き途中で遮らない。
○ 言い分をすぐに否定しない。言い分がわからないときは、適宜、質問し、抱えてい る問題や不満な点をメモに取りながら的確に把握する。復唱する等の確認を行う。
○ 自分の考えや価値観を捨てる。申出人に対し先入観を持ったり、勝手な思い込みに より話を誘導しない。
○ 専門的な立場や知識で相手を言い負かすことはしない。高圧的にならず、指示・説 教的な態度はとらない。
○ 申出人が興奮している場合は、反論や説得は逆効果となるので、場所を移したり他 の職員に参加してもらう。
○ たらいまわしをしない。
○ 不快な思いをさせるきっかけとなったことについて謝罪する。
○ 不当な要求等には、毅然とした態度で対応する。
○ わからないことはあいまいに答えない。自分だけで判断できない問題の場合は、期限 を明確にして後日回答する旨約束する等、誠意を持って対応する。中途半端な説明は相手を満足させず、不信感をつのらせるだけである。
○ 苦情内容の中には、制度の理解不足や誤解もある。一通り話を伺ったうえで、 説明が必要なときは、専門用語をできるだけ避ける。
○ 議論、言い訳、弁解、責任転嫁は禁物である。事実確認を十分に行い、事実に基づいて対応する。特に認知症や精神疾患等から事実と異なる話しも十分に想定されるが、事実関係を把握することは極めて重要であるので、受容的態度で聴くよう努めること。
○ 対応する職員は、感情的にならずに常に冷静に。
○ できること、できないことをはっきりと伝え、過大な期待は抱かせない。
○ 申出人や関係者の秘密を守る。
○ 苦情対応としての透明性と説明責任を確保する。
○ 電話による苦情の訴えの場合も基本的に上記に基づく対応とするが、訴えの内容、氏 名、住所、連絡先、当事者との続柄等を記録し、必要に応じて速やかに直接面談の機会を設けるなどの対応をする。
2.苦情対応の体制
( 1 ) 苦情の受付 苦情受付担当者は、利用者や家族等からの苦情を随時受付ける。また、苦情受付担当者の不在時には、他の全ての職員が受付けることができる。その場合、速やかに苦情受付担当者へ連絡し、状況を正確に報告する。苦情受付担当者は、苦情受付に際し、次の事項を「苦情受付・経過記録書」に記録し、その内容について申出人に確認する(この際は必ず2名以上の職員で対応すること)。
①苦情の内容・希望等(なにが、いつ、どこで、だれが、どのように)
②苦情受付担当者は、苦情の事実が発生した時点で 、受付けた苦情を苦情解決責任者へ報告する。
(2)苦情解決責任者統括責任者として、苦情解決責任者を設置する。「児童発達支援管理責任者」苦情解決責任者は苦情内容を確認し、運営会議を招集し、報告を行うとともに苦情の直接原因の調査、分析を行い、解決策を検討する。苦情解決責任着は、協議の上、対処者を決定し、申出人との話し合いによる原因報告、解決策の提示により苦情解決を行う 。
(3)苦情解決の記録、報告苦情解決や改善を重ねることにより,サービスの質が高まり、運営の適正化が確保される。これらを実行あるものとするため、記録と報告を積み重ねるようにする。 記録については、苦情に関する記録は、苦情受付担当者が苦情受付を、苦情対応者が解決までの経過と結果について「苦情受付・経過記録書」に記録する。 その記録は、2年間は保存しなければならない。(厚生省令第39号第37条第2項) 苦情対応者は、申出人に対し、提示・約束した改善事項の状況について、一 定期間後に報告し、苦情解決責任者は適切であることの確認を行う。
(4)苦情対策運営会議の設置
苦情対策運営会議を設置し、苦情に関する調査や解決策の検討を行う。委員会の構成は、苦情解決責任者、苦情受付担当者の他、支援に携わるすべての職員により構成すること。 苦情対策運営会議は、家族等の面会時や面談の応対について、適切であるかを確認する。
3.利用者等への周知
苦情解決責任者は、利用者や家族等に対して苦情解決責任者、苦情受付担当者及び氏名・連絡先 や苦情解決の仕組み、その他の機関による苦情受付窓口について、サービス開始時の重要事項説明 及び施設内に掲示し周知を図る。
他の相談窓口
区の相談窓口
①まず、事業所の担当者や苦情受付担当者に言う。
②利用者懇談会、投書、手紙などで伝える。事業者には、苦情受付担当者、苦情解決責任者を置いて苦情解決にあたることが求められ、これらは、利用契約書(重要事項説明書)に記載されることになっている。上記で解決できない場合や事業者に直接言いにくい場合、あるいは区が提供しているサービスの場合は、下記の窓口で受付する。
横浜市こども青少年局障碍児福祉保健課 045-671-4274
4.苦情受付記録様式
苦情に関する記録については「苦情受付・経過記録簿」を使用すること。記録の際には、様式の項目に基づき、具体的な内容で詳細に記録すること。
苦情発生時の対応チャート
苦情が出たら
↓
苦情受付担当者に報告する(児童発達支援責任者)
↓
苦情解決責任者に報告(事業所代表)
↓
苦情解決責任者が運営会議を招集し、協議の上苦情対応者を判断
↓
児発菅が対応 施設長が対応 指導員が対応
↓
苦情申し出人との対応・相談
↓
苦情解決 苦情解決責任者が確認
↓
苦情対応運営会議を招集原因と防止策を検討再発防止を図る
※事故においては、苦情対応に準ずることとする。